月に恋情

 静かな夜。平助と二人で酒を呑み交わして。

 嗚呼良い夜だと、満ち足りた息をつく。

「好きですよ」

「……は」

 どくん、と。

 腹を裂いたときよりも、心臓の音が五月蝿く騒ぐ。

「ねぇ。好きですよ……、原田さんのことが」

 月に照らされた夜影が重なり合う。

 カラ、と転がる盃から零れた酒が、夜の帳に伝い落ちた。

あとがき

しっとりとした大人な原藤が書きたかったもの。原さんを動揺させるのは楽しいです。